パワハラを受けながら仕事を続けていくのは精神的にも非常に厳しいものです。
しかし、パワハラ被害を法的に訴えるのはおすすめしません。
- 費用がかかる
- 長期戦になる
- 会社に居づらくなる
- 勝敗が分からない
- 精神的負担が大きい
今回は、パワハラ被害を法的に訴えるデメリットと、実際の対処法を解説します。
パワハラを訴えるデメリット5選
結論から言えば、パワハラ被害を法的に訴えるにはデメリットが大きいです。
何より簡単に訴える事ができず、実際に訴えようと思ってもかなりの労力や時間が必要になります。
費用がかかる
パワハラを法的に訴える際には、弁護士に依頼しなければなりません。
まずここでネックなのが、弁護士費用です。
弁護士に依頼するに当たって、費用の相場は50〜100万円程と言われています。
パワハラの慰謝料は、実際の内容の悪質性、また継続性によって大きく金額が違ってきます。
そのため、慰謝料が一体どれだけ支払われるか私たちには分かりません。
普段からパワハラを受け精神的に傷つけられているのにも関わらず、大きな費用を負担するのは馬鹿馬鹿しいですよね。
慰謝料より弁護士費用が大きくなってしまうかもしれない可能性がある以上、金銭面でのデメリットは大きいと考えられます。
長期戦になる
パワハラを訴えて実際に裁判になると、長期戦になる場合が多いです。
通常の裁判は約3ヶ月から半年ほどですが、一度の裁判で決着がつかない場合は、二審、三審とまた、裁判を行わなければなりません。
そのため、数年以上の時間が掛かる場合もあります。
当事者からすれば3ヶ月でも十分長いのに、一年以上も争うなんて考えられないですよね。
しかし実際に裁判となると、これだけの時間が掛かってしまう可能性があるのです。
会社にいづらくなる
パワハラを法的に訴えることで、当事者が会社に居づらくなる可能性もあります。
会社の上層部から危険人物と思われてしまったり、同僚などからは会社を訴えた人という目で見られてしまう可能性も。
自分は何も悪い事をしていないのに、そういった環境が生まれてしまうことはデメリットでしょう。
勝てるとは限らない
パワハラ被害の勝敗は裁判によって判決されます。
そのため、訴えたからといって必ずしも勝てるとは限りません。
パワハラの十分な証拠がない場合や、加害者側にも言い分があったりすると判決の采配が難しくなります。
決定的な証拠が無い限り勝訴できない可能性が高く、実際に訴える場合はパワハラの有効な証拠を集める事が重要でしょう。
それでも判決を下すのは裁判官なので、絶対に勝てるとは限りません。
精神的に負担がかかる
ただでさえ当事者は、パワハラ被害により精神的に厳しい状況です。
その中で裁判のための証拠を集めたり、裁判所に足を運んだりしなければなりません。
通常通り仕事をこなしながらやらなければならない事が増える事によって、精神的ストレスが増えてしまう可能性も。
心が疲弊している中で、不慣れな裁判を行うには精神的デメリットが大きいと言えます。
パワハラで訴えるのに必要な費用
ここからは、パワハラを法的に訴えるにはどれだけの費用が必要なのか紹介します。
先にも紹介した通り、弁護士に依頼するのにもお金が必要になります。
例えば損害賠償を請求して慰謝料が認められた場合にも、弁護士に対して着手金と成功報酬を支払わなくてはなりません。
さらに弁護士への相談料や書類作成料などが別途でかかる事が多く、弁護士に依頼する費用が慰謝料より高くなることもあります。
パワハラを訴えるのにかかる費用
パワハラを訴えるのに必要な費用は、総額で50-100万円ほどと言われています。
その内訳としては、着手金・報酬金・その他費用。
弁護士事務所によって金額は様々で、着手金に関しては裁判で勝っても負けても必要になる費用です。
報酬金は慰謝料を獲得した際に弁護士に支払う報酬で、相場は16%程度とされていますがこれも弁護士事務所によって違います。
他にも、相談料や書類の作成、裁判所までの交通費などが含まれます。
もらえる慰謝料は30-100万円
もらえる慰謝料はパワハラの種類や悪質度や色んな基準で、金額が変動します。
大きく分けると、軽度の暴行や暴言、被害者自身にも問題がある場合は10万〜30万程度、怪我があった場合や実際に暴行が行われていた場合は、100万円以上の慰謝料が認められる可能性があります。
しかし言い換えれば、実際にはその程度しか貰えません。
弁護士費用に対して、パワハラ被害の慰謝料が少ないのが現実なのです。
パワハラ被害を受けた時の対処法
それでも訴えたいんです。
そうしなければパワハラから逃げられない気がして……
そんなことはありません。
ここからは、実際に被害を受けたときの対処法を紹介します。
パワハラを受けた時は、まずどんなことをされたのか記録しましょう。
いつ、どこで、だれに、どんなことを、なるべく詳細を細かく記録して、後々の事実確認の時に有効活用ができます。
そして、我慢せずに周囲に相談しましょう。
パワハラと戦うより、まずは自分の健康を優先してください。
転職
パワハラ被害を受けた際に、一番おすすめなのは転職することです。
パワハラを行う上司がいる職場より、新しい職場の方がきっと何倍も働きやすいです。
またパワハラ上司を放置している会社にも問題があるので、そんな職場には勇気を持って見切りをつけましょう。
また職場を退職することで、パワハラ上司の評価を下げることもできます。
休職
一度休職することで、心を休めるのも一つの手です。
例えば、パワハラや職場いじめが原因で適応障害になってしまった場合、仕事上の理由による適応障害の発生が認定されて休業補償給付が支給される可能性があります。
休業補償給付の金額は、給付基礎日額の60%×休業日数となっています。
また、労災認定を受けた場合は、休業特別支給金として給付基礎日額の20%×休業日数も受け取る事ができます。
そのためお金のことはまず心配せず、ゆっくり体を休めるのもパワハラと戦う一つの手段になるでしょう。
退職
思い切って退職してしまうのもおすすめです。
退職には、自己都合と会社都合があるので、そこだけ気を付けましょう。
パワハラの様な、会社の環境が悪く続けられないと言った場合は会社都合で退職する事がおすすめです。
また、本当は会社都合の退職だけど、自己都合の退職に強要されたなどのケースであれば退職後に変更も可能です。
そういったときは、退職後にハローワークに相談しましょう。
退職理由を会社都合に変更することもできますし、退職理由を変更するにあたって、医師の診断書提出、監督機関から会社への事実調査が入ります。
そこで間接的に、パワハラ上司の悪事を暴くこともできますよ。
社内相談窓口に相談
パワハラを受けている事実を社内相談窓口でに相談しても、無視や放置されてしまう現状があります。
会社としても都合が悪いと考えられる事もありますし、そもそも被害者の言っている事が曖昧な可能性もあり、判断することはとても難しくなります。
パワハラに悩んでいる場合は、社外の相談窓口などで相談しましょう。
その際にはパワハラの証拠も忘れずに!
社内相談窓口よりも社外の方に相談した方が解決の可能性が高くなります。