クラッシャー上司とは、気分の浮き沈みが激しく、部下のミスを執拗に責めるなど次々に部下を休職や退職など精神的に追い込みながら、自身は出世していく上司のことを指します。
暴言や精神的ないじめを行なうパワハラ上司とは違う点は二つ。
- 優秀で仕事ができると評価されている
- 部下への叱責などに悪気が無い
組織内では優秀で仕事ができると評価されていることが多いため、本人は自分の行いを正当化し、事態を悪化させてしまいます。
今回は、そんなクラッシャー上司の特徴や対処法を紹介します。
クラッシャー上司の特徴
クラッシャー上司の特徴はこの4つ。
- 傲慢な性格
- コミュニケーション能力の欠如
- マイクロマネジメント
- 過度なパフォーマンス評価
ひとつずつ解説していきましょう。
傲慢さ
クラッシャー上司は、優秀で仕事ができると評価されている場合が多く、自分のやり方は正しいと考えています。
マネジメントに関しても同様で、部下の意見に耳を傾けず、一方的に自分のやり方を押し付けてくる傾向にあります。
自分のやり方で成果を出してきた実績がある分、部下が精神的に追い込まれていても、自分のやり方が間違いだとは認識していません。
そのため部下のミスに対しても、自分の感情を優先し執拗に責める傾向にあります。
また部下の不足や不備を指摘することで、自己顕示欲を満たしている場合もあります。
コミュニケーション能力の欠如
クラッシャー上司は、一方的で高圧的なコミュニケーションを取る場合が多いです。
『部下は指示通りにできて当たり前』そんな考え方から、ひとつ何かが違うと強い叱責という形で感情を露わにします。
またマイナス面への指摘は多いものの、できたことを褒めるということはありません。
部下を追い詰めていることに対して罪悪感がなく、部下の気持ちに共感することができないために、自分の発言で部下がどのように感じるかを想像することができません。
極端な自己中心的性格とも言えますね。
マイクロマネジメント
マイクロマネジメントとは、上司が部下の行動を細かく管理しすぎてしまうマネジメントのことです。
クラッシャー上司は、自分の仕事のやり方を他人に押し付ける傾向があるため、マネジメント手法も部下の自主性を無視したやり方になりがちです。
特にテレワークの普及により、部下の仕事姿を直接確認できない環境での仕事が増え、過度な進捗報告やメールへの返信スピードを求める等の傾向が増えています。
部下の成長を見守るという視点はなく、指示した業務へ細かく指導や口出しを続けることで、結果的に部下が精神的に追い込まれてしまいます。
過度なパフォーマンス評価
クラッシャー上司は、部下へも自分と同じレベルで仕事の質や量を求める傾向があります。
部下の得意不得意を考慮したり、プロセスに目を向けるということはありません。
そのため、自分の指示通りに仕事ができないと判断すると強く叱責する傾向にあります。
仕事は結果で判断される側面もありますが、求める能力が自分中心のクラッシャー上司。
プロセスや部下の特性を考慮せず、思考も極端なため、成果物だけで判断する過度なパフォーマンス評価となりがちです。
クラッシャー上司に対する対処法
クラッシャー上司は、優秀な人が多く会社の業績に貢献しています。
地頭が良く仕事ができるため、会社側も指導しにくかったり、クラッシャー上司への対応優先度が下がったりしがちです。
ここからは、職場でクラッシャー上司にあたってしまった場合、どのように対応すべきかをご紹介します。
コミュニケーションの改善策
クラッシャー上司と付き合っていく上では、ストレスを撥ね返す力を持ち、クラッシャー上司の言動をやりすごせるようになることも重要です。
まじめな人ほどクラッシャー上司からの発言を受け止め、自分なんてと塞ぎ込んでしまいがち。
この状況が続くと精神的に追い込まれ体調を崩してしまうこととなります。
「この人はクラッシャー上司なんだ……」と、俯瞰でその人の発言を受け止められるようになれば、心も少しは楽になります。
相談できる同僚を持ち、悩みを打ち明けられる環境を整えておくことも、精神面の維持においては重要です。
ですが、自分の心の限界もあるため、無理はし過ぎないようにしてください。
部下の自己主張の方法
クラッシャー上司は、職場上の立場が下である部下の意見には耳を傾けてはくれません。
真っ向から意見を口にしても対等に戦うことが難しいため、社内に味方をつけ立ち回ることが重要です。
悩んでいるのは自分だけじゃないはず。
まずは周囲に相談して仲間を作りましょう。
さらに上の上司や同僚に相談する
クラッシャー上司への対応に困ったときは、1人で抱え込まずに同僚やクラッシャー上司のさらに上の位の上司に相談することが有効です。
クラッシャー上司は、個人の業績が高いことから、上の位の上司からの評価も高い可能性があります。
そのため相談する際には、メール文面やメモを残しておく等、何かしらの根拠と共に相談し、被害を明確にすると有効です。
また証言をしてくれる同僚がいれば、社内で相談する際により信憑性を出すことができます。
辛い状況を話せる同僚がいるだけで、精神的にはぐっと楽になることもありますよ。
1人でどうにかしようとせず、味方を作ることが大事です。
社内相談窓口はあまりオススメできない
クラッシャー上司は、個人での業績が高いことから、会社からの評価も高い場合があります。
特にコンプライアンスへの意識が低い会社では、人事部に相談をしても、部下の長期的な成長や、働きやすい労働環境が軽視される可能性があります。
この場合は、外部機関への相談が有効です。
労働基準監督署に設置されている「総合労働相談コーナー」では、無料で相談ができ、社内で解決できる問題なのか、別窓口への相談が必要なのかアドバイスをもらうことができます。
損害賠償請求等法的措置を求める場合は、弁護士への相談が有効です。
ですが弁護士への相談は金額的に負担が大きくなる可能性もあるため、迷っている方は国の運営する法律相談窓口である「法テラス」の利用がおすすめです。
転職を考えるタイミングとその方法
社内での解決が難しい場合は転職を検討することも1つの手です。
さらに上の上司への相談や、人事部への相談で環境が変わらない、具体的な対応に至らないという場合は、クラッシャー上司への対応に労力を使うよりも、自分の環境を変えてしまう方が早く問題解決に繋がる場合もあります。
また退職者が出ることは、クラッシャー上司の評価を下げることにもなります。
在職中に転職先を見つけられればベストですが、いち早く離れる必要があれば、人事部に退職理由がクラッシャー上司であることを伝え「会社都合退職」として退職しましょう。
この場合すぐに失業保険が受給でき、余裕を持って転職活動ができます。
逆に「個人都合退職」となると、失業保険の受給までに2〜3ヶ月かかるため、退職後に転職先を見つける場合には注意が必要です。
本当に今すぐ逃げたいなら退職代行を使うのも有効です。
社内への相談が難しかったり、早急に退職したい場合は、退職代行を使うこともおすすめです。
退職代行は、本人の代わりに会社へ退職の意思を伝えてくれるサービスのことです。
クラッシャー上司が退職理由である旨も伝えてもらうことができる上、退職に関連する会社との交渉ごとまで代行してもらえます。
即日退職が可能なため、クラッシャー上司と顔を合わせることなく退職できます。
クラッシャー上司からいち早く逃げたい方はぜひ利用してみて下さい。